【7日間ブックカバーチャレンジ #6】

最初の「新しい歌」の鮮烈な言葉とリズムに衝撃を受けた。長谷川四郎さんの歌うような翻訳が、そのままロルカのイメージになった。戯曲では『血の婚礼』が有名。若くしてスペイン内戦で処刑された。

長谷川四郎さんはシベリア抑留を経験され、黒澤映画「デルス・ウザーラ」の翻訳や小説など多彩な著作を残している。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #5】

山で出会った子ぎつねに指を青く染めてもらい、窓をつくってのぞくとそこに。。。というお話。

安房直子さんは、やなせたかしさんの「詩とメルヘン」に何度も登場した。作品には幻想的な世界や懐かしい日本の慣習、町のいろんなお店など、沢山の風景がつまっていて死の影が漂うものも多い。はかなすぎる「さんしょっ子」の絵本は友だちのお嬢さんに差し上げた。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #4】

シンデレラを芝居仕立てにした作品で、キャラの濃い人物が次から次へと登場する。明け方、主人公エマはベッドで寝ている。雄鶏の鳴き声を聞くまいと、うすくて短い毛布を耳まで引き上げると、小さなかわいい足がのぞく。書き出しはまるで映画のよう。

エマは魔法で「ダレシラヌ国」の王女に変身し、舞踏会に出席する。講談社版では原書の「Nowhere」に石井桃子さんのこの美しい訳が使われていた。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #3】

橋の下で暮らすアルマンじいさんが宿なしの3人の子どもたちと出会い、次第に家族になっていくお話。読んだのはたぶん弘田令子さんの訳。

パリの町の雰囲気、中央市場、親切なジプシーたちが住む素敵な車の家やクリスマスの様子が生き生きと描かれる。悪知恵や偏見、見当ちがいの善意や妥協もしっかり書いてある。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #2】

得意分野というと、どうしても童話や絵本になる。

日本では半世紀を越えるロングセラーで去年は映画にもなった。翻訳は『小さなスプーンおばさん』や『長くつ下のピッピ』を訳した大塚勇三さん。

小さいといっても魔女は127歳。カラスのアブラクサスに小言を言われながら毎日「いい魔女」になるために魔法のけいこをしている。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #1】

姪1号よりバトンが回ってきて、本日、7冊目をFacebookに投稿し終えた。

まず1冊目として2年前に1号の2歳の子にあげた絵本をアップ。もうすぐ2歳の3号の子にもプレゼントする予定。

何匹かの動物のうち、イチゴやドーナツをたべたのだれかな?と、絵でわかるこの本は、おしゃべりをはじめた子どもにぴったり。

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般若心経:意識を考える

今年2月、私は90歳になりました。戦前と戦後の二つの風景を生きてきた人間として、現代の日本について思うところがたくさんあります。

戦後日本の大きな特色のひとつは、マルキシズムの影響です。
この思想が、どれだけ日本という国を変化させたか、戦後生まれの人たちには理解できないかもしれません。

大学時代に経済学を専攻した私は、科学や哲学を発生源流に戻って見直すようにしていました。
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生活者に必要な日本語 「誰かの靴をはく」

よく行く映画館のスクリーンに、いつも「まもなく上映が開始となります」と表示される。「上映を開始します」とはせず、「詳細が発表となります」「発売が開始となります」のように、名詞を「が」でつないで「となります」をつけた文章が増えているように思う。

居酒屋で店員が「冷奴になります」とお皿を持ってきたとき、「冷奴になる前は? 大豆?」と、つい言ってしまうという人がいたが、母国語にそれほど注意を払わない人もいるだろう。

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分類学と生物学者

北海道にお住まいの馬渡駿介先生(北海道大学名誉教授)から、12月21日付けの朝日新聞北海道版に掲載された記事を送っていただいた。

タイトルは馬渡先生が南方熊楠賞受賞式で話されたのと同じ「ヒトの目にとまらない生き物たち」。「分類学」とは何か、ということから説き起こしてある。

一般人にとって、難しいイメージしかないが、ノーベル賞研究や新幹線の技術を支えるものであることがよくわかる。

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言葉と文化

昨日、久しぶりに、歴史と文化を学ぶ会の結城順子さんと橋爪雅彦さんにお目にかかりました。私が出版した『あなたがはじまる般若心経 ver.1』への感想など頂戴しながら、話は教育と文化のことへ広がりました。

小学生から英語を教育することが危険であることは、鳥飼久美子さんをはじめ多くの識者の指摘するところです。ふと、友人からずいぶん昔に聞いた面白い話を思い出し、お話ししました。

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