【映画日記 2020/9/1】「シュヴァルの理想城」

「パンをこねることは知っている」郵便配達員が、娘のために石を積みセメントで固めて本物の城をつくってしまうというフランス映画。

主演はジャック・ガンブラン。大好きなサンドリーヌ・ボネールと共演した「マドモワゼル 24時間の恋人」では既婚者同士の1日の恋を演じた。とくに男前というのではないが、アメリカのどこかの橋の映画よりリアルで好きだった。

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「リベラル」と「ネトウヨ」(2)

春先にFacebookでコロナ関連の中国情報をシェアしたら、引用先が保守系YouTube番組だったせいで、ある人に即刻「ネトウヨ」認定を受けた。

情報発信者が「新しい歴史教科書をつくる会」の理事であると知るや、「『つくる会』は嫌中・嫌韓を煽っている」ためその情報は「デマ」だとして、公然と「デマを信じるバカ」扱いされ、唖然とした。

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「リベラル」と「ネトウヨ」(1)

若い頃から自分でも呆れるほど世情に疎い。「物知らず選手権」があれば上位入賞は確実。コンプレックスの第一は「新聞が読めない」ことだった。

膨大な文字量によくわからない固有名詞。理解できないので読み進められない。ひそかに恥じていたら、何十年も経って、多くの人が案外「見出しだけ飛ばし読み」なのを知った。

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ことばとあそんで大きくなれば

少し前、姪の4歳になる息子に、ことばあそびの絵本を送った。谷川俊太郎さんの『ことばあそびうた』は、さすがにむずかしいかと、別の姪に小さい頃あげた『お江戸はやくちことば』を探したが、20年以上も前の本で、新品は手に入らなかった。

『こねこにこにこねどこでねころぶ』の挿絵は、偶然、『お江戸はやくちことば』と同じ藤枝リュウジさんだった。

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読書日記――武田龍夫、河添恵子

🔶武田龍夫『外交官日記』(1983、1996)

元北欧担当の外交官が大使館窓口の何でも屋として60年代後半から70年代にかけて遭遇したさまざまな事件をユーモア小説として描いた作品。

詐欺師や「ブルーピース」も出てきて、笑えるものあり、笑えないものあり。捕鯨問題では日本代表が赤ペンキをかけられたり、日本の国旗や日本人をかたどった人形が焼かれたりと、どこかで聞いたような話も出てくる。

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奇妙なニュース

この春はコロナだけでも気が滅入るのに、マスメディアがいろいろ報じるのでやきもきさせられる。「憲法改正許すまじ」の勢力が、何でもかんでも現政権批判のために共闘するやり口には、うんざりだ。

「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートが何百万だか千万だかに達したとして、大きな圧力になっている。人数とツイート数はまったく別のものであることを曖昧にしたまま、これを「国民の声」と報道するのは公平とは言い難い。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #6】

最初の「新しい歌」の鮮烈な言葉とリズムに衝撃を受けた。長谷川四郎さんの歌うような翻訳が、そのままロルカのイメージになった。戯曲では『血の婚礼』が有名。若くしてスペイン内戦で処刑された。

長谷川四郎さんはシベリア抑留を経験され、黒澤映画「デルス・ウザーラ」の翻訳や小説など多彩な著作を残している。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #5】

山で出会った子ぎつねに指を青く染めてもらい、窓をつくってのぞくとそこに。。。というお話。

安房直子さんは、やなせたかしさんの「詩とメルヘン」に何度も登場した。作品には幻想的な世界や懐かしい日本の慣習、町のいろんなお店など、沢山の風景がつまっていて死の影が漂うものも多い。はかなすぎる「さんしょっ子」の絵本は友だちのお嬢さんに差し上げた。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #4】

シンデレラを芝居仕立てにした作品で、キャラの濃い人物が次から次へと登場する。明け方、主人公エマはベッドで寝ている。雄鶏の鳴き声を聞くまいと、うすくて短い毛布を耳まで引き上げると、小さなかわいい足がのぞく。書き出しはまるで映画のよう。

エマは魔法で「ダレシラヌ国」の王女に変身し、舞踏会に出席する。講談社版では原書の「Nowhere」に石井桃子さんのこの美しい訳が使われていた。

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