「科」を超える東洋医学、繋がる医療の輪

〇「何でも診る科」の漢方医
私は内科医師として研修を開始したが、5年目から漢方に出会い、その後は内科とともに漢方医としても歩んできた。東洋医学は伝承医学で、約2000年前に成立した古典を、金科玉条のごとくバイブルにしながら現在も使用している。その時代の医学に各科目の分類などはなく、あらゆる科を乗り越えて書かれているため、漢方医は自然に「何でも診る科」を修業してしまうことになる。特に私が漢方を勉強しはじめた30年前にはそんな雰囲気が色濃くあった。
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死へのスパイラルを経験して(1) ――自らに統合医療を用いて回復

◆油断――自分のからだを軽んじた
2013年6月にわが身に起こったできごとは、今振り返れば、大事に至る前にさまざまな警告とも取れる前ぶれがありました。
けれども当時の自分は、すでに書き込まれたスケジュールや目先の仕事を優先し、深く考えることなく、いつも通り先を急ぎました。
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引き出しの多い医者がおもしろい

医学の専門誌や書籍の編集に携わったことがあります。病気の名前などの固有名詞ももちろんむずかしいのですが、それ以外に「機序」「予後」「寛解」「増多」「一過性」など、耳慣れない独特の言い回しが出てきて、日本語離れした文章のオンパレードに頭が痛くなるたぐいのものです。
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