【7日間ブックカバーチャレンジ #3】

橋の下で暮らすアルマンじいさんが宿なしの3人の子どもたちと出会い、次第に家族になっていくお話。読んだのはたぶん弘田令子さんの訳。

パリの町の雰囲気、中央市場、親切なジプシーたちが住む素敵な車の家やクリスマスの様子が生き生きと描かれる。悪知恵や偏見、見当ちがいの善意や妥協もしっかり書いてある。

続きを読む

【7日間ブックカバーチャレンジ #2】

得意分野というと、どうしても童話や絵本になる。

日本では半世紀を越えるロングセラーで去年は映画にもなった。翻訳は『小さなスプーンおばさん』や『長くつ下のピッピ』を訳した大塚勇三さん。

小さいといっても魔女は127歳。カラスのアブラクサスに小言を言われながら毎日「いい魔女」になるために魔法のけいこをしている。

続きを読む

【7日間ブックカバーチャレンジ #1】

姪1号よりバトンが回ってきて、本日、7冊目をFacebookに投稿し終えた。

まず1冊目として2年前に1号の2歳の子にあげた絵本をアップ。もうすぐ2歳の3号の子にもプレゼントする予定。

何匹かの動物のうち、イチゴやドーナツをたべたのだれかな?と、絵でわかるこの本は、おしゃべりをはじめた子どもにぴったり。

続きを読む

生活者に必要な日本語 「誰かの靴をはく」

よく行く映画館のスクリーンに、いつも「まもなく上映が開始となります」と表示される。「上映を開始します」とはせず、「詳細が発表となります」「発売が開始となります」のように、名詞を「が」でつないで「となります」をつけた文章が増えているように思う。

居酒屋で店員が「冷奴になります」とお皿を持ってきたとき、「冷奴になる前は? 大豆?」と、つい言ってしまうという人がいたが、母国語にそれほど注意を払わない人もいるだろう。

続きを読む

分類学と生物学者

北海道にお住まいの馬渡駿介先生(北海道大学名誉教授)から、12月21日付けの朝日新聞北海道版に掲載された記事を送っていただいた。

タイトルは馬渡先生が南方熊楠賞受賞式で話されたのと同じ「ヒトの目にとまらない生き物たち」。「分類学」とは何か、ということから説き起こしてある。

一般人にとって、難しいイメージしかないが、ノーベル賞研究や新幹線の技術を支えるものであることがよくわかる。

続きを読む

贈り物の種

清水博先生のお話を聞くたびに、いつも、東本願寺の二枚の看板を思い出していた。2012年3月、当時82歳だった父が心臓弁膜症の手術を受ける日の朝のこと、看板に書かれた言葉に、はっとした。

「バラバラでいっしょ」

別々でも同じ人間、それとも、互いが別々の個を保ちながらひとつに融け合うイメージ。 続きを読む

目に見えない小さな生き物

二年ほど前、国立科学博物館(科博)のミュージアムショップで、素敵なモノクロームのカレンダーを見つけた。不思議な貝殻のような物体の写真が50個以上もちょこちょこと、大判の紙一面に並んでいる。トゲトゲや渦巻き、イガイガのほか、繊細なレース模様や小さな規則正しい穴に表面が覆われているものなど、見て飽きることのない自然のデザイン。 続きを読む

驚いた話

スーパーシニアのご活躍は、私にとって身近なものだ。
場の研究所所長・清水博先生は、この11月で87歳。居場所と〈いのち〉の問題について、精力的に発信し続けておられる。
5月にお目にかかった微生物の専門家・平井孝志先生は89歳の父と「同年兵」。
10月にお目にかかった中国問題の大家・伊原吉之助先生も同じく卒寿。
明晰さには憧れるばかりだが、なぜこれほどまでにアクティブなのか。

続きを読む

呪いと祈り

昨日は上野の東京国立博物館で「マジカル・アジア――博物館でアジアの旅」を見てきた。昨秋、「木々との対話──再生をめぐる5つの風景」東京都美術館のガイドツアーがよかったので、今回は「呪いのパワーを探す旅」というツアーに参加したら、ネーミングのせいか大盛況で、ゆっくり見て回るのはツアー終了後になった。
続きを読む

温故知新の石油化学技術――国立科学博物館産業技術史講座にて

ずっと昔、酸素窒素の業界で取材をしていた。見慣れない技術用語に圧倒されながら、せっせと過去の記事を読み、那野比古さんの半導体の本を持ち歩き、図書館でレーザについて調べた。工業ガスの技術用途は、鉄鋼、化学、半導体、食品、医療など幅広い。炭酸ガスやアセチレンと書いたところで、溶接のことも金属のこともまったくわからない。「ナフサ」という言葉は技術者との会話によく登場したが、それが何なのかも知らずにいた。
続きを読む