死は誰のものか――映画「眠れる美女」を観て思うこと(1)

2013年秋に日本で公開されたイタリア映画の「眠れる美女」(マルコ・ベロッキオ監督)を、先月観る機会があった。仕事で終末期医療についての文章を読んでいた矢先のことである。この作品は、2009年に実在したイタリアの尊厳死事件を扱っている。 続きを読む

引き出しの多い医者がおもしろい

医学の専門誌や書籍の編集に携わったことがあります。病気の名前などの固有名詞ももちろんむずかしいのですが、それ以外に「機序」「予後」「寛解」「増多」「一過性」など、耳慣れない独特の言い回しが出てきて、日本語離れした文章のオンパレードに頭が痛くなるたぐいのものです。
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認知症予防学会(2)――シンポジウム・生活習慣病と認知症

9月29日の午前は、予防が最も力を発揮する生活習慣への介入について、新潟大学・池内健氏、京都府立医科大学・栗山長門氏、大阪大学・里直行氏の3人による講演が行われた。認知症発症の原因としては、遺伝など先天的なもの、加齢、生活習慣の3つがある。はじめの2つはどうすることもできないが、唯一意志によって変えることができるのが生活習慣(life style)である。 続きを読む

認知症予防学会(1)――市民公開講座 認知症予防のできるまちづくりをめざして

◆認知症の「予防」とは何か
2013年9月27日から3日間新潟の朱鷺メッセで開催された第3回日本認知症予防学会。最終日の午後開かれた市民公開講座では、日本医科大学武蔵小杉病院の北村伸氏、鳥取大学の浦上克也氏が登壇し、認知症の最新の情報と地域での活動について講演を行った。
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ドイツの子どもの庭としつもん――正解はいつも心の中にある

4月11日の木曜日、「しつもん家」のマツダミヒロさんたちがドイツで見学した幼稚園についての報告会があった。
幼稚園(キンダーガーデン)発祥の地であるドイツでは、幼稚園で子どもたちにしつもんの授業を行っている。

「天使って何?」などといったしつもんに答える子どもたちの姿を実際に見てきたところ、行われていたのは哲学の授業だった。
ドイツには、哲学の授業を推奨している「子どもと哲学を考える研究所」があり、その授業ができる先生の育成も行っているという。
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HEAL の 理由(2)

引き続き、日本女性心身医学会でのアナグリウス・ケイ子さんの講演より。

ケイ子さんは、ある時、骨肉腫で緩和ケア病棟に入っている女性に、庭で育てたペパーミントをもっていった。宣告された余命はわずか2週間。
日本では根のついた植物は嫌われるが、根を生やすと植物は酸素を出す。
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農業人の頭の中――豊岡エキシビション2012より

7月25日、秋葉原のUDXで、兵庫県豊岡市のイベント「豊岡エキシビション2012」が開催された。豊岡といえば、長年の苦労の甲斐あってコウノトリの養殖に成功し、2005年に放鳥して以来、共生農業に力を入れ、「コウノトリも住める村」として知られる。城崎、竹野、日高、出石、但東町と合併し、現在の姿になった。
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