アイマスク体験

A4の白い紙の中心に、小さな丸を書く。続いてその丸を、少し大きな丸で囲み、その作業をさらに何度か繰り返す。

誰にでもできそうなこんな単純な作業が、視覚を遮断した状態で行うと、一瞬にして誰にもできない作業に変わる。サインガイドという枠を使っても、満足に文字を書くのは難しい。「偏軌」といって、通常はどちらかに偏ってしまう。注意して紙をまっすぐにしておかないと、斜めに書いてしまったりもする。
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言語教育に取り組む現場実践報告を聴いて――獨協大学外国語教育研究所第3回シンポジウムから(2)

松田雪絵氏(埼玉県立伊奈学園総合高等学校)の報告

1.多文化言語共存社会で生きる人材を育てる

伊奈学園総合高等学校というユニークな言語教育に取り組む学校があることを初めて知った。同校は、1984年に併設型の中高一貫校として創設され、普通科でありながら「学系」という独自の分類による人文、理数、語学、生活科学、スポーツ科学、芸術、情報経営の7科を設け、興味や適性に合わせて時間割を組むことができる。
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言語教育に取り組む現場実践報告を聴いて――獨協大学外国語教育研究所第3回シンポジウムから(1)

日本には真のエリートを育てる教育がないといわれる。随分昔、雨後の竹の子のように看護大学が乱立した際も、「教養」の定義について教員間で意見がまとまらず、多くは技能偏重から知識偏重に移行したのみに終わった。

それほど教育者の意識が低い。現場との乖離が、さまざまな教育において制度的に横行していることが多すぎる。
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キリスト教とスピリチュアリティ―― 日本スピリチュアルケア学会基調講演を聴いて

9月6日、日本スピリチュアルケア学会2014年度第7回学術大会にて、副学長の川中仁氏の基調講演と、作家の柳田邦夫氏の記念講演を聴いた。「スピリチュアリティ」という言葉はむずかしいが、人間の本質において大切なものと考えると非常にシンプルで、流行の「スピリチュアル」という言葉が、オーラや言霊、精神世界、占いなど混沌としているのとは明らかに異なる。
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錯覚活用法――裏切る「感覚」を逆手に現実を変える

六本木ミッドタウンで、d-labo主催の「錯覚で幸せになる技術」という講座を聴いた(2014.7.29)。講師は、東大情報理工学系でバーチャルリアリティを研究する鳴海拓志 (なるみ たくじ)さん。かけて食べれば、少ない量で満足できる「ダイエットメガネ」などのユニークな研究がある。
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フィンランドの教育としつもん――シンプルに、ちゃんと考える

6月25日、しつもん財団のフィンランド教育視察報告会で、かもめ大学学長の高坂翔輔さんの話を聞いた。

世界一の学力を誇る国フィンランドで、学校を訪ね、いろいろと見聞きした印象記である。

「走っている人がいない」ことが印象的なゆとりのあるお国柄。長く外国の支配下にあった歴史のせいか、
人は親切で人情厚く、独特の教育システムがとられているという。
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円覚寺坐禅会 2014年4月4日 「三界無法 何処求心」の講和を聴いて

ある方から教えていただいた座禅会が、歩いていける場所であるというので、1月から円覚寺の白山道場に行くことにした。一時間ほど階下で座ったあと、二階へ上って、般若心経、白隠禅師坐禅和讃、延命十句観音経、延命十句観音和讃、四弘誓願を読み、雪竇禅師(せっちゅうぜんじ)が注釈を加えた「碧巌録(へきがんろく)」から、管長の横田南嶺(なんれい)氏の講和を毎回ひとつずつを聴く。
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ドイツの子どもの庭としつもん――正解はいつも心の中にある

4月11日の木曜日、「しつもん家」のマツダミヒロさんたちがドイツで見学した幼稚園についての報告会があった。
幼稚園(キンダーガーデン)発祥の地であるドイツでは、幼稚園で子どもたちにしつもんの授業を行っている。

「天使って何?」などといったしつもんに答える子どもたちの姿を実際に見てきたところ、行われていたのは哲学の授業だった。
ドイツには、哲学の授業を推奨している「子どもと哲学を考える研究所」があり、その授業ができる先生の育成も行っているという。
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農業人の頭の中――豊岡エキシビション2012より

7月25日、秋葉原のUDXで、兵庫県豊岡市のイベント「豊岡エキシビション2012」が開催された。豊岡といえば、長年の苦労の甲斐あってコウノトリの養殖に成功し、2005年に放鳥して以来、共生農業に力を入れ、「コウノトリも住める村」として知られる。城崎、竹野、日高、出石、但東町と合併し、現在の姿になった。
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