1 「問題」とその「解決」について

人が「問題」に出会う時

このコーナーのタイトルである「問題は解決を求めて現れる」という言葉は、私がこれまで80年以上生きてきた中で、さまざまな人と出会い、考える中で実感し、深い確信をもつにいたった考え方を表しています。

私は、兵庫県の一地方都市で、長年ささやかではありますが、小学生や中学生、高校生を対象に英語や数学を教えてまいりました。そのかたわら、ものごとに取り組む姿勢、やる気、能力の育て方などを研究し、学習とは何か、それがなぜ必要かなどを、ともに考えてきました。そのうちに、子どもさんのご両親をはじめとして、次第に多くの方からの相談を受けるようになりました。
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フィンランドの教育としつもん――シンプルに、ちゃんと考える

6月25日、しつもん財団のフィンランド教育視察報告会で、かもめ大学学長の高坂翔輔さんの話を聞いた。

世界一の学力を誇る国フィンランドで、学校を訪ね、いろいろと見聞きした印象記である。

「走っている人がいない」ことが印象的なゆとりのあるお国柄。長く外国の支配下にあった歴史のせいか、
人は親切で人情厚く、独特の教育システムがとられているという。
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死へのスパイラルを経験して(1) ――自らに統合医療を用いて回復

◆油断――自分のからだを軽んじた
2013年6月にわが身に起こったできごとは、今振り返れば、大事に至る前にさまざまな警告とも取れる前ぶれがありました。
けれども当時の自分は、すでに書き込まれたスケジュールや目先の仕事を優先し、深く考えることなく、いつも通り先を急ぎました。
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円覚寺坐禅会 2014年4月4日 「三界無法 何処求心」の講和を聴いて

ある方から教えていただいた座禅会が、歩いていける場所であるというので、1月から円覚寺の白山道場に行くことにした。一時間ほど階下で座ったあと、二階へ上って、般若心経、白隠禅師坐禅和讃、延命十句観音経、延命十句観音和讃、四弘誓願を読み、雪竇禅師(せっちゅうぜんじ)が注釈を加えた「碧巌録(へきがんろく)」から、管長の横田南嶺(なんれい)氏の講和を毎回ひとつずつを聴く。
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死は誰のものか――映画「眠れる美女」を観て思うこと(1)

2013年秋に日本で公開されたイタリア映画の「眠れる美女」(マルコ・ベロッキオ監督)を、先月観る機会があった。仕事で終末期医療についての文章を読んでいた矢先のことである。この作品は、2009年に実在したイタリアの尊厳死事件を扱っている。 続きを読む

引き出しの多い医者がおもしろい

医学の専門誌や書籍の編集に携わったことがあります。病気の名前などの固有名詞ももちろんむずかしいのですが、それ以外に「機序」「予後」「寛解」「増多」「一過性」など、耳慣れない独特の言い回しが出てきて、日本語離れした文章のオンパレードに頭が痛くなるたぐいのものです。
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認知症予防学会(2)――シンポジウム・生活習慣病と認知症

9月29日の午前は、予防が最も力を発揮する生活習慣への介入について、新潟大学・池内健氏、京都府立医科大学・栗山長門氏、大阪大学・里直行氏の3人による講演が行われた。認知症発症の原因としては、遺伝など先天的なもの、加齢、生活習慣の3つがある。はじめの2つはどうすることもできないが、唯一意志によって変えることができるのが生活習慣(life style)である。 続きを読む

認知症予防学会(1)――市民公開講座 認知症予防のできるまちづくりをめざして

◆認知症の「予防」とは何か
2013年9月27日から3日間新潟の朱鷺メッセで開催された第3回日本認知症予防学会。最終日の午後開かれた市民公開講座では、日本医科大学武蔵小杉病院の北村伸氏、鳥取大学の浦上克也氏が登壇し、認知症の最新の情報と地域での活動について講演を行った。
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