読書日記――佐藤健志 福島瑞穂

🔶佐藤健志『平和主義は貧困への道』(2019)

ユニークな切り口で戦後から現代までの日本を考察した話題の書。タイトル通りの現状となった経緯について、憲法や財政法の話をまじえて平易に解説する。自称リベラルの人がなぜ共産主義的なのかにも得心がいく。

戦後日本型の平和主義は、「自国の政府を信用せず、自国の政府の信用も認めない理念」であるため、以下の特徴をもつ。

・日本政府の信用(負債能力=武力をもつ力)を認めない。

・信用のもととなる日本政府の永続性を否定する。

・政府の負債を減らし、同時に女性解放によって少子化へ誘導する。

・戦争回避のために愛国心を解体する。

・愛国心解体のために「家(制度)」をなくす。

 

占領期GHQのある時点での政策の変化、その後の時代変化が、そのまま日本の左傾化・右傾化に影響を及ぼしている。憲法成立を白洲次郎は「強姦」と表現したが、筆者は映画や演劇を例にとり、対米従属路線はむしろ「和姦」であったと分析している。

 

🔶 福島瑞穂『結婚と家族』(1992)

佐藤健志氏のいう平和主義社会を目指す内容。憲法第24条を根拠に選択的夫婦別姓を勧め、「家制度」をなくして過去を断ち切ることをよしとする。結婚と法律の関連を述べつつ早々に天皇家の話を持ち出し、戸籍制度に抵抗を示している。

 

夫婦同姓の女性側の不便はわかるが、姓は個人の、ではなく家や家族のアイデンティティでもあることには触れず、夫婦同姓の強要は日本の女性差別であるとして国連で問題にしている。

 

この人は先日に限らず何の問題もない法改正と知った上で騒ぎ立てるなど、活動の目的が露骨な点で朝日のモリカケねつ造に通ずる。

 

一貫して「個人」の「権利」を重視し、家族や家庭、日本文化の視点はない。夫婦別姓が多数派で戸籍のない社会が著者のいう「自由」であるらしい。フランス人か。