「空」と「涅槃」

2019年に私は、『あなたがはじまる般若心経 ver.1』(明窓出版)を世に出しました。巷間よく耳にする「『空(くう)』は実体がない」という説に真っ向から異を唱えたもので、ありがたいことにたくさんの方から「ようやく納得できる般若心経の解説に出会った」との声をお寄せいただきました。

 

私は、「空(くう)」を「万物を生み出す豊かな根源」と理解しています。ちょうど真空が「空っぽの空間」などではなく、無限のエネルギーを秘めているように「空」とらえているのです。

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般若心経:意識を考える

今年2月、私は90歳になりました。戦前と戦後の二つの風景を生きてきた人間として、現代の日本について思うところがたくさんあります。

戦後日本の大きな特色のひとつは、マルキシズムの影響です。
この思想が、どれだけ日本という国を変化させたか、戦後生まれの人たちには理解できないかもしれません。

大学時代に経済学を専攻した私は、科学や哲学を発生源流に戻って見直すようにしていました。
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般若心経への誤解を解く

2005年に『無明の闇を照らす般若心経』(朱鷺書房)を出してから、14年ぶりの新刊が明窓出版からまもなく刊行されます。

『あなたがはじまる般若心経ver.1――問題は解決を求めて現れる』(明窓出版)

本書は、これまでわかったようでわかりにくかった般若心経について、すっきりとした読み解き方を提示するものです。

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4 心の転換が起きる背景

子どもの「おねしょ」に悩むお母さんが、私のお教えした言葉を唱えただけで、みごとに「おねしょ」は治りました。
しかし、これをお教えするにあたって、私は、「般若心経」のことには一切触れていません。
ただ、「心呪」を唱えやすくアレンジして、伝えただけです。たったこれだけのことが、どうして私たちの心を転換させてくれるのでしょうか。
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3 心の転換は、どうしたらできるか

心の転換の必要性を頭ではわかっていても、どんな人も、そう簡単に心を転換することができません。
子どもの頑固な「おねしょ」を治したいと真剣に願うお母さんたちも、もちろんその一人です。
私がおすすめした方法は、次のような言葉を唱えるというきわめてシンプルなものでした。

「信じなくてもよいですから、次の言葉を今日から毎日、ひたすら唱え続けてください。
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1 「問題」とその「解決」について

人が「問題」に出会う時

このコーナーのタイトルである「問題は解決を求めて現れる」という言葉は、私がこれまで80年以上生きてきた中で、さまざまな人と出会い、考える中で実感し、深い確信をもつにいたった考え方を表しています。

私は、兵庫県の一地方都市で、長年ささやかではありますが、小学生や中学生、高校生を対象に英語や数学を教えてまいりました。そのかたわら、ものごとに取り組む姿勢、やる気、能力の育て方などを研究し、学習とは何か、それがなぜ必要かなどを、ともに考えてきました。そのうちに、子どもさんのご両親をはじめとして、次第に多くの方からの相談を受けるようになりました。
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