音 緒 じぶんの ねいろを 文字にする

音 緒
みんなの健康
『摂食障害――見る読むクリニック』の出版トークイベント2―質問に答えて

治療を計画的にやることが大切です。見通しがない時に、どこまで家で頑張るかの限界を定め、「このくらいの体重になったら入院して経管栄養」と決めておきます。回復しても次に悪くなったらどうするかもプランを立て、家族で共有しておきます。本人の状態がいい時に本人の意思を尊重して、次に悪くなったらこうする、と決めてサインをさせるようにします。

『摂食障害――見る読むクリニック』出版記念トークイベント1―知ることが薬

内科の治療で大事なポイントは、拒食症の患者さんは、「こわい」ということです。入院したら厳しい治療をされ、できないと責められるのではないかと思っています。頑張りすぎて本人は気がついていませんが、からだが悲鳴を上げています。本には、検査についても、実際に行っている通り書いています。運よく一年くらいで治る方もいますが、16年か17年かけてかかった病気なので、3年から5年くらいは治療に要します。

「ADDICTION(アディクション)~今日一日を生きる君~」を観て
「ADDICTION(アディクション)~今日一日を生きる君~」を観て

〝壊れる〟のは簡単である。
修復するには倍の時間を要する。

スピリチュアルケアと物語――柳田邦夫氏と傾聴

25歳の次男が自ら死を選んだ。遺体を引き取って家に連れ帰り、居間に安置していたときのこと、長男が何気なくリモコンでテレビをつけた。タルコフスキーの映画「サクリファイス」が終わりかけ、マタイ受難曲が流れていた。それは次男が好きな曲だった。彼は無宗教であったが、この不思議な偶然は、大きなものが見守ってくれているという残された者へのメッセージに思われ、大いなるなぐさめとなった。こんなできごとがどれほど人を力づけ、生き直す勇気をくれることか。これが物語のもつ意味である。

死は誰のものか――映画「眠れる美女」を観て思うこと(3)

死は、誰かひとりの個人に属するものではない。誰が何を選択してもしなくても、死は、大きなマントのように、かかわる人々を包み込んで同じ場の共有を強いる。「生活の質(Quality of Life:QOL)」と言う言葉を、「人生の本質」と読めば、最期のときをどう終えるかは、QOLに深くかかわる問題である。
完璧な準備でなくても、自分や家族の死という場ができるだけ穏やかなものであるよう、時々は死を身近に考える時間をもつようにしようと思う。

死は誰のものか――映画「眠れる美女」を観て思うこと(2)

こういった宣言は、「事前指示 (advance directive)」とよばれ、よく知られているものに「リビング・ウィル(尊厳死宣言書)」がある。尊厳死協会では、「現代医学では治療が不可能で、既に死期が迫っている場合」と断ったうえで、延命処置をしないこと、必要な苦痛緩和の薬物処置を行うことに加え、「回復不能な植物状態になった時」は、生命維持装置を取り外すことを希望する書式がある。

死は誰のものか――映画「眠れる美女」を観て思うこと(1)

生も死も自分で選べないと言うが、この映画で明確に選んでいるのは、ベッファルドの妻である。この場合、夫という他者の力を借りて生を終わらせた。ここにあるのは、延命治療を拒否する意思である。延命治療とは誰が何のためにするものか。状況は多様でひとことではいえないが、まず、人の生の「終末期」ということを考えなければならない。

認知症予防学会(2)――シンポジウム・生活習慣病と認知症

糖尿病は、糖の代謝がうまくいかず血液中の糖が過剰になることから動脈硬化や神経、眼、腎臓などに障害を引き起こす生活習慣病の王様である。従来は、脳を除く体内を循環する血液の状態は、俗にBBBとよばれる血液脳関門(blood brain barrier)に隔てられ脳に影響を及ぼさないとされていたが、体内の血液の状態と脳の状態に関連があることや、血糖を調整する酵素であるインスリンがさきのアミロイドβと互いに影響し合うこともわかってきた。ここから、生活習慣病を予防することが認知症予防にもつながるという明解な論理が導き出された。

認知症予防学会(1)――市民公開講座 認知症予防のできるまちづくりをめざして

「予防」という言葉には「手洗い、うがいの風邪予防」のイメージがある。このような「かからないための手立て」は「一次予防」とよばれる。これに加え早期発見・早期治療を意味する「二次予防」と、発症後にも適切な治療により重症化を極力おさえる「三次予防」があり、ここまでを含めたものを「予防」という。「かかってしまうと予防できない」のではなく、段階や状況に合わせ現実的に対策を講じて生活の質を維持していこうという姿勢である。

朝、起きるということ

モーニング・ケアは、まず、部屋のカーテンを開けることから始まる。窓を開け、空気を入れ換え、新しい一日の始まりを一緒に確かめる。
長い夜を過ごして迎えた朝に、「おはようございます」の挨拶とともに訪れるナースは、病床の人にとって、待ち遠しい太陽のような存在であっただろう。
モーニング・ケアを通してナースが学ぶ大きなことは、患者との人間関係の構築でもある。

Heal の 理由(2)

「癒し」という言葉は、苦痛からの解放を意味し、英語ではcomfortやhealingで表す。
Healには、「治る」「回復する」の意味もあり、health(健康)の中にhealが含まれている。治るという働きを含んだ状態を健康と呼ぶ。
なぜ治るのか、説明のつかないことが、しばしば現実に起きる。

Heal の 理由(1)

何か月も入院している患者だった。毎晩眠る前の祈りはこうだ。
「どうか目が覚めませんように」
せんたく板に出会ってから、その習慣が消えた。
「あなた、おはよう。もう少しこの世にいさせてください」
ケイ子さんへの最高の褒め言葉だ。