【映画日記2020/11/08】恐竜が教えてくれたこと/グランド・ジャーニー

パルシネマしんこうえんにて見逃していた「恐竜が教えてれたこと」を見る。原作はオランダの児童文学。可愛らしいチラシやタイトルとはちがって大人向きの映画だった。映像はシンプルでサルサなど音楽もかなりおしゃれ。

主人公のサムは死と孤独に思いを巡らす11歳。ちょっと「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」を思い出す。夏休みに家族で訪れた島で、風変わりな女の子テスに出会う。この展開は「ギルバート・グレイプ」。ふたりは自転車で走るだけでもいろんな表情を見せる。台詞も面白い。

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【映画日記 2020/9/1】「シュヴァルの理想城」

「パンをこねることは知っている」郵便配達員が、娘のために石を積みセメントで固めて本物の城をつくってしまうというフランス映画。

主演はジャック・ガンブラン。大好きなサンドリーヌ・ボネールと共演した「マドモワゼル 24時間の恋人」では既婚者同士の1日の恋を演じた。とくに男前というのではないが、アメリカのどこかの橋の映画よりリアルで好きだった。

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「リベラル」と「ネトウヨ」(2)

春先にFacebookでコロナ関連の中国情報をシェアしたら、引用先が保守系YouTube番組だったせいで、ある人に即刻「ネトウヨ」認定を受けた。

情報発信者が「新しい歴史教科書をつくる会」の理事であると知るや、「『つくる会』は嫌中・嫌韓を煽っている」ためその情報は「デマ」だとして、公然と「デマを信じるバカ」扱いされ、唖然とした。

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「リベラル」と「ネトウヨ」(1)

若い頃から自分でも呆れるほど世情に疎い。「物知らず選手権」があれば上位入賞は確実。コンプレックスの第一は「新聞が読めない」ことだった。

膨大な文字量によくわからない固有名詞。理解できないので読み進められない。ひそかに恥じていたら、何十年も経って、多くの人が案外「見出しだけ飛ばし読み」なのを知った。

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ことばとあそんで大きくなれば

少し前、姪の4歳になる息子に、ことばあそびの絵本を送った。谷川俊太郎さんの『ことばあそびうた』は、さすがにむずかしいかと、別の姪に小さい頃あげた『お江戸はやくちことば』を探したが、20年以上も前の本で、新品は手に入らなかった。

『こねこにこにこねどこでねころぶ』の挿絵は、偶然、『お江戸はやくちことば』と同じ藤枝リュウジさんだった。

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読書日記――佐藤健志 福島瑞穂

🔶佐藤健志『平和主義は貧困への道』(2019)

ユニークな切り口で戦後から現代までの日本を考察した話題の書。タイトル通りの現状となった経緯について、憲法や財政法の話をまじえて平易に解説する。自称リベラルの人がなぜ共産主義的なのかにも得心がいく。

戦後日本型の平和主義は、「自国の政府を信用せず、自国の政府の信用も認めない理念」であるため、以下の特徴をもつ。

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読書日記――武田龍夫、河添恵子

🔶武田龍夫『外交官日記』(1983、1996)

元北欧担当の外交官が大使館窓口の何でも屋として60年代後半から70年代にかけて遭遇したさまざまな事件をユーモア小説として描いた作品。

詐欺師や「ブルーピース」も出てきて、笑えるものあり、笑えないものあり。捕鯨問題では日本代表が赤ペンキをかけられたり、日本の国旗や日本人をかたどった人形が焼かれたりと、どこかで聞いたような話も出てくる。

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奇妙なニュース

この春はコロナだけでも気が滅入るのに、マスメディアがいろいろ報じるのでやきもきさせられる。「憲法改正許すまじ」の勢力が、何でもかんでも現政権批判のために共闘するやり口には、うんざりだ。

「#検察庁法改正案に抗議します」のツイートが何百万だか千万だかに達したとして、大きな圧力になっている。人数とツイート数はまったく別のものであることを曖昧にしたまま、これを「国民の声」と報道するのは公平とは言い難い。

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【7日間ブックカバーチャレンジ #6】

最初の「新しい歌」の鮮烈な言葉とリズムに衝撃を受けた。長谷川四郎さんの歌うような翻訳が、そのままロルカのイメージになった。戯曲では『血の婚礼』が有名。若くしてスペイン内戦で処刑された。

長谷川四郎さんはシベリア抑留を経験され、黒澤映画「デルス・ウザーラ」の翻訳や小説など多彩な著作を残している。

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